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【コラム】冬が旬のほうれん草を美味しく楽しむ

【コラム】冬が旬のほうれん草を美味しく楽しむ

コラム

寒くなると美味しくなるのが、葉菜類の野菜です。
白菜・水菜・キャベツ・小松菜・ネギ・ブロッコリー・カリフラワーetc...。挙げるときりがないほど、冬にも野菜がたくさん育っています。
同時に、極寒の中おいしい野菜を届けて下さる生産者のみなさまに、心より感謝申し上げます。

今回は、その中からイチオシのほうれん草をご紹介いたします。

ほうれん草の種類

大きく分けると、西洋種・東洋種・両群交雑種の3つに分かれています。

西洋系品種

  • 葉先は丸みを帯びて葉に切れ込みがなく、幅広のものが多い。
  • 葉肉は厚く、根元は淡いピンク。
  • 土臭さを感じる。
  • アクが強い。
  • 暑さに強く、東洋種よりも収量が多い。
西洋系品種

東洋系品種

  • 葉先が尖っていて、深く切れ込みがあり、葉は細め。
  • 葉肉は薄く、歯切れが良い。
  • 根元は濃い紅色。
  • アクが少なく日本人に好まれる品質。
東洋系品種

両群交雑種

  • 一代交配種。西洋種と東洋種のかけ合わせ。
  • 土臭さが少なく、両群の中間的特性を持つ。
  • 病気に強い。
  • 現在、最も多く出回っている、主流となる品種。
両群交雑種

★寒じめほうれん草とは?

ちぢみほうれん草とも呼ばれ、縮んだ葉がまあるく反り返っているような形をしています。
この独特な形は、特別な品種が存在するわけではなく【寒じめ】と呼ばれる栽培方法によって生み出されます。

寒じめ栽培は、その名のとおり寒い時期(12月~2月)の一定期間、外気にさらされた状態で育ちます。植物にとって過酷な環境で成長をしながら糖分を蓄えるので、甘みが強くうま味も増します。
一方でアクも強くなるので、調理する際にはゆでて、しっかりアクを抜きましょう。

寒じめほうれん草

★料理を彩る赤軸ほうれん草

軸と葉脈がきれいな赤い色をしていることから名付けられた、一代交配種です。
アクが少なく、生食でもおいしく味わえます。赤軸ほうれん草のベビーリーフは、レストランのサラダなどにもよく使われるミックスサラダリーフの一種です。

赤軸ほうれん草

『生』と『ゆで』栄養成分が多いのはどっち?

【ほうれん草に含まれる主な栄養素(可食部100g中)】

食品名 葉/冬採り/生葉/冬採り/ゆで
カロリー18kcal23kcal
水分量92.4g91.5g
たんぱく質2.2g2.6g
脂質0.4g0.5g
炭水化物3.1g4.0g
カリウム690mg490mg
カルシウム49mg69mg
マグネシウム69mg40mg
2.0mg0.9mg
βカロテン当量4200µg5400µg
ビタミンK270µg320µg
葉酸210µg110µg
ビタミンC60mg
※夏採り20mg
30mg
※夏採り10mg

※日本食品標準成分表2020年版(八訂)から引用
※ほうれん草の重量(目安)一株150g

答えは50:50
主に含まれる栄養成分のうち、カリウム、マグネシウム、鉄、葉酸、ビタミンCはゆでることで減ってしまいますが、代わりにカルシウム、βカロテン、ビタミンKなど増える栄養成分もあります。

また、ほうれん草は一年中出回っていますが、本来の旬は冬から春先にかけてです。夏採りのほうれん草は、冬採りと比べるとビタミンCの量が1/3に減ってしまいます。
旬の時期は生産量も増えて価格も下がるので、カラダが喜ぶだけではなく、お財布に優しいのも嬉しいポイントです。

ほうれん草は、なぜゆでるの?

ほうれん草には、“シュウ酸”が多く含まれています。
生のほうれん草を食べた時にえぐみを感じ、舌がピリピリ、歯がキシキシとした経験がありませんか?
その正体がシュウ酸です。アクの主成分でもあります。

シュウ酸は味覚的にも邪魔をしますが、鉄分の吸収を阻害したり、体内のカルシウムと結合しやすい性質を持つため結石の原因になりやすく、体質によっては注意が必要となります。
ですが、ほうれん草に含まれるシュウ酸は水溶性なので、ゆでこぼしてから水気を絞ることで約半分に削減できることが分かっています。

なお最近はシュウ酸が少なく、生食できるサラダ系品種も増えています。用途によって品種を使い分けることができれば、料理のバリエーションも、より一層広がります。

★ほうれん草のゆで方

ほうれん草を美味しく楽しむため、また健康維持のために、ゆでることが推奨されています。

  • 塩ゆでして色鮮やかにゆでる。
    1. たっぷりの湯を沸かし、塩を加える。
      ■湯量…重量の5倍程度。※2株(300g)→1.5Lが目安。
      ■塩…湯量の1~2%。※1.5L→大さじ1が目安。
    2. ほうれん草を立てるように持ち、火が入りにくい根元の茎から湯に入れる。10秒ほど数えたら、菜箸を使って葉の部分を鍋のカーブに沿って、全体を湯に浸す。
    3. 1分ほどゆでたら、菜箸でほうれん草を引き上げる。冷水が入ったボールに移し、水を数回入れ替えてから流水で冷やす。
      ※流水で冷やすことで、アク(シュウ酸)が抜けて行きます。また冷やすことで、ほうれん草のキレイな色を保ちます。
立てるよう湯に入れる 流水で冷やす
  • 少量であれば、電子レンジを利用して手軽にゆでる。
    1. ほうれん草を一株、よく水洗いをして、水気を含んだ状態でラップに包む。
    2. ラップに包んだほうれん草を耐熱皿に乗せて、600ワットの電子レンジで2分加熱する。
    3. 塩ゆでの時と同様に、冷水が入ったボールに移し、水を数回入れ替えてから流水で冷やす。
ラップに包む 加熱後

おすすめの食べ方

子供の頃から好きな野菜の上位をキープするほど、ほうれん草が大好きな私なのですが、特に好きな食べ方がおひたし牡蠣のオイルパスタです。

おひたしは、シンプルにほうれん草の旬のおいしさを味わえるから。牡蠣のオイルパスタは、旬食材の相乗効果でパワーが付くからです。

お浸し 牡蠣のオイルパスタ
  • 旬の食材を美味しくいただく調理法は、Simple is the best!!
  • 旬の食材は、その季節ならではの不調を改善してくれる。

この2点に尽きます。^-^

筆者
清野 朱美

作り手の"想い"と自然が生み出す野菜の美しさに魅了され、2012年に野菜ソムリエの最高峰資格「野菜ソムリエ上級Pro.」を取得。
調理師やベジフルビューティーアドバイザー等の専門知識を活かし、美と健康を叶える野菜レシピを、TV番組や料理教室などから発信中。
2014年12月、野菜&果物の"機能性"に焦点をあてた初のレシピ本「KINOH Vegetable & Fruit Recipe Book」を執筆及び監修。
趣味は野菜をテーマに旅すること。

清野朱美

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