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【コラム】クリスマスとブロッコリーの美味しい関係

【コラム】クリスマスとブロッコリーの美味しい関係

コラム

寒さと共に、甘味と旨味が増す
ブロッコリー

街にクリスマスソングが流れる12月が近づくと「ブロッコリーの旬が来たな!」と感じます。
ブロッコリーの原産地は、地中海沿岸の冷涼な土地。よって暑さに弱く、寒さを好みます。昨今では一年中出回っていますが、日本での本格的な旬は12月~。寒さが増すとともに、ブロッコリーの甘味と旨味もアップしていきます。
茎が太くて切り口が新鮮、尚且つつぼみの緑色が濃くギュッとしまったブロッコリーが良品です。

東京中央卸売市場の入荷実績を見てみると夏場は北海道産、取引が増える冬は関東近郊や愛知県産が主流であることが分かります。

ブロッコリー月別入荷実績のグラフ

出典:alic 独立行政法人 農畜産業振興機構 「ベジ探」より

よく生活者の皆さんから受ける質問の一つに「ブロッコリーの一部が紫色になっているものは大丈夫か?」というのがあります。この紫色は、ポリフェノールの一種である”アントシアニン”。植物自身が冬の寒さから身を守るために作り出しているものですので、問題ありません。
※もともと全体が紫色になる品種もあります。

紫変色したブロッコリー 品種としての紫ブロッコリー

つぼみの中に蓄えた優れた栄養価

1株に数万個以上あるブロッコリーのつぼみたち。濃い緑色はまさに、”緑黄色野菜”の風格が漂っていますね。
β-カロテン”だけではなく様々なビタミン・ミネラル類も豊富に含んでおり、特にビタミンB群の一つである”葉酸”は野菜の中で第1位、ビタミンCもベスト10にランクインしています。葉酸は主に緑色野菜に多く含まれており、赤血球の形成に欠かせないビタミンで、貧血予防に役立ちます。
風邪が流行る時期にもなってきますから、冬場の健康維持に欠かせない野菜の一つと言えるでしょう。

葉酸含有量TOP10表

出典:文部科学省 食品成分データベース 「野菜類」でのランキング

上手に分解し、丸ごと使い切るコツ

つぼみのすきまに虫や卵などが潜んでいることがあるので、まずは株ごと逆さまにして、つぼみ全体がつかるように10分ほど水につけておきます。その後、ゆすり洗いをすると大抵の異物は取り除けます。

ブロッコリー下処理

独特な形をしているので、切り方に少しコツがあります。まず、太い茎の部分とつぼみのかたまり部分を分けましょう。

●茎の処理

茎部分は固い外側をそぎ落とすと、淡い緑色の茎が現れます。この茎は鮮度がよければ、みずみずしく甘味が感じられるので、薄切りにして生でも食べられます(ナムルなどにオススメです)。

茎の外側カット 茎の内側部分 茎の薄切り

●つぼみの処理

小さいつぼみをつぶさないように、軸の分岐箇所に包丁を入れて大きさが均一になるようにカットしていきます。軸が太い場合は縦に切れ込みを入れ、つぼみに向かって手で裂いていきます。こうするとつぼみが欠けることなく、ス~ッと分解できます。

蕾を小房に分ける 蕾を裂く

●廃棄部分の活用

こうして下処理を終えると、廃棄部分が多く出ます。
茎の下の方に、側枝がついている場合はなおさらです。茎のそぎ落とした外側や側枝は加熱しても繊維質が固いため、細かく切ってジャガイモや玉ネギと合わせて、ポタージュスープはいかがでしょうか。しっかり攪拌すれば、繊維質は気になりません。
廃棄部分は冷凍保存できますので、2~3株分の廃棄量が貯まるまで冷凍ストックしておくと便利です。同じアブラナ科である、キャベツの芯などを一緒に使ってもよいでしょう。

廃棄部分 ポタージュスープ

栄養を逃さないための2つの方法

優れた栄養価をなるべく損なわずに調理するための、2つの方法をご紹介します。

●その1 茹でる場合はアルデンテ

前述した”葉酸”や”ビタミンC”は水溶性ビタミンですので、でると流出が多くなります。また、茹ですぎるとつぼみが崩れて食感も悪くなりますから、小房に分けて沸騰したお湯で数分サッとでたら(このタイミングで味見をして、アルデンテ)すぐにザルに上げて広げ、あとは余熱で火を通します。

●その2 【蒸し炒め】がオススメ

水溶性成分の流出をなるべく減らし、旨味を引き出せるのが【蒸しめ】です。
フライパンに油を引いて中火で熱し、ブロッコリーが重ならないように並べます。片面をまず数分加熱したら返して、塩少々と差し水をしてふたをし、5分程度蒸し焼きします。最後にふたを開けて、余分な水分を飛ばしたらできあがり。
水っぽくならず、このままでも箸が止まらないほどのおいしさです。

蒸し炒めの様子

クリスマスの食卓をブロッコリーで華やかに

さあ、こうして下処理したブロッコリーは、クリスマスなどのパーティーシーンに大活躍。
ふんわりとした小房は可愛らしくて存在感がありますし、加熱後の鮮やかな緑色赤系野菜と組み合わせるとまさにクリスマスカラー!チーズフォンデュやクリームシチュー、リース風サラダ、細かく刻んだものをポテトサラダに混ぜ込んでツリー風に・・・と可能性は無限大です。

すでに「万能な付け合わせ野菜」に欠かせないブロッコリーですが、ぜひ今年の冬は「メインの野菜」として、活用していただきたいものです。

クリスマスとブロッコリー

筆者
高崎 順子

農学部卒業後、食品メーカーでの商品開発、食マーケティングを担当し、2014年に野菜ソムリエ上級プロの資格を取得。30年以上野菜一筋の生活を送る。
現在は、企業や自治体のセミナー講師、各種料理教室を開催しながら、「親子横浜野菜キッチン」を主宰し、子どもとファミリーに向けた食育活動に力を入れる。「野菜で伸ばす、生きるチカラ。」がモットー。

高崎順子

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