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【コラム】世界中で愛されるりんごの魅力

【コラム】世界中で愛されるりんごの魅力

コラム

旬を彩る果物が豊富な季節になりました。
りんごの早生品種は8月から、日本での2大産地の青森県と長野県は、雪が積もる前の11月上旬までにりんごの収穫を終えます。

梨のイメージが強い新潟県ですが、主に佐渡島でりんごも栽培しています。
主力の品種はふじで、11月中旬から翌春まで味わうことができます。

世界中で愛されるりんご

りんごの栽培起源は4000年以上前までさかのぼります。
旧約聖書やギリシャ神話など、りんごにまつわる逸話やことわざは数多く存在し古くから親しまれてきた果樹であることがうかがえます。

例えばヨーロッパでは昔から重要な果樹として栽培されていることが、ドイツのアップルワインやフランスのシードル、絵画などの美術品を通しても伝わってきます。
りんご一つでパリを驚かせてみせる」と、田舎のアトリエで生涯りんごを描き続けた画家と称されるセザンヌは、作品への自信をそう語ったことでも有名です。

また、アップル創業者の一人スティーブ・ジョブズ氏は、Appleという社名を付けたことについて「果実食主義者の主要な食べ物のひとつだから」「Appleという名前は活発で面白そうだし、高圧的ではない印象であると考えた」と語っています。

多くの人を魅了するりんごはその種類の多さからもうかがえます。
世界中の地で愛されるりんごは現在世界に15,000種、日本に約2,000種もの品種があるといわれています。その中で人気が高く、世界を魅了したと言われているのが日本で誕生したふじです。

りんごの品種

豊富な種類の中からほんの一部をご紹介。

つがる
果汁が多い。酸味は少なく、爽やかな甘み。
(ゴールデンデリシャス×紅玉)
きおう
酸味は少なく、甘みを強く感じる。果肉はシャリシャリ。
(王林×千秋)
秋映え
果肉は硬めで黄白色。全体的に甘酸っぱい。
(千秋×つがる)
未希ライフ
果肉はしっかり。甘みと酸味のバランスがよい。
(千秋×つがる)
シナノドルチェ
香りがよく、りんごらしい甘酸っぱさ。果汁もたっぷり。
(ゴールデンデリシャス×千秋)

1日1個のりんごは医者を遠ざける

"An apple a day keeps the doctor away"

こちらは世界的にも有名なことわざです。
りんごは日持ちもするから買いやすく、ビタミンCやカリウム、食物繊維などが豊富に含まれているので旬のシーズンには毎日食べたい身近な果物です。

中でも注目したい成分が抗酸化を助けてくれる"ポリフェノール"です。
主に野菜や果物の色や香りに含まれる抗酸化物質は、生活習慣病の予防や美容と健康を維持するアンチエイジングには欠かせません。

その魅力から近年"リンゴポリフェノール"とも呼ばれ、その主成分となる"プロシアニジン"の機能性に注目が集まっています。"プロシアニジン"は、果皮だけでなく果肉にも含まれています。
"プロシアニジン"はビタミンCやカリウム同様に熱に弱いため、"ポリフェノール"をしっかり摂取したい場合は、生のまま食べることをおすすめします。

また、りんごはカットして果肉が空気に触れると酸化して茶色くなりますが、これも"ポリフェノール"の影響です。すぐに食べない時は、塩水やレモン汁などで素早く酸化を防ぎましょう。
スムージーやフレッシュジュースを作る時はレモン汁を加えると色止めができます。

りんごに含まれる主な栄養素
(可食部100g中)

※りんごの重量(目安)大玉300g、中玉200g

  • カロリー 54kcal
  • 水分量 84.9g
  • たんぱく質 0.2g
  • 脂質 0.1g
  • 炭水化物 14.6g
  • カリウム 110mg
  • βカロテン当量 21μg
  • ビタミンC 4mg
  • 葉酸 5μg
  • 食物繊維総量 1.5g
*日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用

蜜入りりんごは甘いの?

りんごの蜜の正体は、光合成により葉で作られた"ソルビトール"という糖アルコールのことです。
この"ソルビトール"自体はそれほど甘くないのですが、蜜が入ったものは成熟して全体の糖度も増しているため、蜜入りは美味しいりんごの指標ともされています。
また、りんごにはさまざまな品種がありますが、ふじスターキングなどが蜜の入りやすい品種です。

りんごの保存場所に注意!!

りんごは木の枝から切り離された後も呼吸をして、成熟する過程で"エチレンガス"というガスを発生します。
これは果物にとって大切な植物の成熟促進ホルモンなのですが、"エチレンガス"の影響を受けやすい野菜の近くにりんごを置いてしまうと鮮度が落ちるスピードが早まってしまいます。

逆に熟していない固めのキウイフルーツなどを早く熟成させたい場合はりんごをそばに置くと効果的です。他に桃・梨・アボカド・完熟したトマトなども"エチレンガス"の発生量が多いので、ポリ袋や新聞紙などを活用し、保存場所に気をつけましょう。

筆者
清野 朱美

作り手の"想い"と自然が生み出す野菜の美しさに魅了され、2012年に野菜ソムリエの最高峰資格「野菜ソムリエ上級Pro.」を取得。
調理師やベジフルビューティーアドバイザー等の専門知識を活かし、美と健康を叶える野菜レシピを、TV番組や料理教室などから発信中。
2014年12月、野菜&果物の"機能性"に焦点をあてた初のレシピ本「KINOH Vegetable & Fruit Recipe Book」を執筆及び監修。
趣味は野菜をテーマに旅すること。

清野朱美

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